2019年9月28日土曜日

十二世紀のルネサンス

ちょっと前の投稿で、読むのをやめていた本っていうのがこれです。

「12世紀のルネサンス」チャールズ・ホーマー・ハスキンズ

なかなかの地味さですが、電車の中でも読みやすい文庫です。
「オスマン帝国」と「パイドン」、「Voices & Instruments of the Middle Ages」を読み終えた後、こちらも読了しました。

12世紀なのに、なんでルネサンス???と思うかもしれませんが、歴史家の中では、15世紀のイタリアルネサンスだけを「ルネサンス」とするのでなく、古代復興の運動はそれまでもあった、という見方があります。それの一番大きいのが12世紀にあったとされています。

その12世紀前後のルネサンス的なことを書いたのがこの本ですが、もう一度言いますが、なかなかの地味さなのです。
知的中心がヨーロッパのどの辺にあったか、その中心的な人物、場所は、修道院での修道士、という記述の中で、13世紀頃に商人が中世の都市を訪れて、知的な交流を図っていたということを書いたところは、なぜか著者の興奮状態が手に取るようでしたね。他の文面とちょっと違う。

第3章「書物と書庫」が期待していなかったのに、なぜかめちゃくちゃ面白い。
当時の写本にはどんなものがあるか、とか、図書館はまだない時代に修道院などで本を収集していたところの話とか、個人的に本を集めていた領主のこととか、本好きにはたまらない内容です。

その後も、ラテン語の古典・詩、法学、ギリシア語/アラビア語からの翻訳、科学、哲学などの章が。
ラテン語の詩のところではゴリアルド族と呼ばれた遊歴書生の世俗的な詩の話も出てくる。「カルミナ・ブラーナ」はこれらの人が書いたといわれる。

そうそう、これに関連した本で、ル・ゴフの「中世の知識人」も面白かった。同時代のことを書いてます。

どれも初めて知る内容ながら面白いです。地味ながらね。

2019年9月22日日曜日

劇団超人予備校本公演「ラクダイス」

10月に劇団超人予備校本公演「ラクダイス」があります。
開演の前に「開演前音楽祭」と立派な名前をつけてもらってる音楽祭のような前座で出演します。

僕が出るのは、下の3つ。

♪開演前音楽祭開催♪
(開演前音楽祭の開始時間は開演20分前です。)
12日(土) 14:10…JAZZ&POPS「ジャニス」
13日(日) 10:40…アコースティックユニット「バナナンボ」
13日(日) 15:10…ボーカリスト「西原希蓉美」

12日の「ジャニス」さんは、ジャズ歌手です。
お芝居もされていて、最近では「おはなしえん」で見かけた人も多いと思います。そう、アンパンマンマーチをブルースで歌い上げてたあのキジさんです。強烈に上手いですよね。
やる曲はだいたい決まったのですが、ジャズってなかなか出来ないんですよ。ジャズ自体は大好きなんですが、ちょいと難しいんですよね。結構音楽を知ってなければ出来ないのです。
そんな僕があと1ヶ月でなんとかしようと思うと、YouTubeでいろんな人のギタープレイを見て、それを盗むのです。この人から盗んだな、ってのがわからんようにしよう、と思ってたけど、よう考えたらそんなんわかるわけないやん。わかるぐらいに盗めてたら今頃どこかでデビューしてるよな。
こんな風に弾きたいなーっていうのは漠然とあるんやけど、それを実行に移すとなかなか出来ない。まだまだ盗み続けなあかんな。あー、早く技術を盗まれるようになりたいよ。まあ無理か。
でも、いろいろと工夫して面白くなってきています。こんなにやったらいいんちゃう?って思いついたときは嬉しいね。

13日朝の「バナナンボ」は人数を増やしてお届けしますよ。すごい久しぶりのような気がしてますが、5月の「おはなしえん」以来なので、まだそんなに経っていなかった。「おはなしえん」でおなじみの曲と、昔バナナ部でやったことのある2曲をほじくり出してきました。昔はやる曲の多さに追いついていなくて、どういう風にやろうか?というのがあんまり考えないうちにやっちゃったんやけど、今回は結構いい感じ。まあ、変わっていないといえば変わっていないんやけど、なんかが変わってる。いい方向に。お楽しみに。

同じく13日昼の「西原希蓉美」は関西小劇場界では有名な役者兼歌手です。彼女が忙しすぎて、あんまり2人でやる機会がないのですが、去年から1年ぶりですね。
今回は(も?)僕の希望を全面的に入れてもらっています。なかなか伴奏を作るのが難しかったのですが、これも最近いい感じになってます。あ、まだ1回打ち合わせしただけなので、僕の脳内での話です。こんなことしてるときが一番楽しいんですよね。

3公演ともオススメです!見に来て欲しいのだ!
(注意:うべんさんは諸事情のため出演されません)


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超人予備校 第15回本公演
「ラクダイス」


~風がふいたら、ふり出しに戻る。~

【作・演出】
魔人ハンターミツルギ

【日時】
2019年
10 月11 日 (金) 19:30
10 月12 日 (土) 14:30 / 19:30
10 月13 日 (日) 11:00 / 15:30
受付開始、開場は開演の40分前。
全席自由席。(当日受付順での入場)
未就学児の入場はご遠慮願います。

♪開演前音楽祭開催♪
(開演前音楽祭の開始時間は開演20分前です。)
11日(金) 19:10…笛吹き男「谷本誠(笛部)」
12日(土) 14:10…JAZZ&POPS「ジャニス」
12日(土) 19:10…弾き語り「クスミヒデオ(赤犬)」
13日(日) 10:40…アコースティックユニット「バナナンボ」
13日(日) 15:10…ボーカリスト「西原希蓉美」

【会場】
in→dependent theatre 1st

〔劇場問合せ先〕
住所:〒556-0005 大阪市浪速区日本橋3丁目3-19
電話:06-6635-1777(11:00~20:00、基本水曜定休)

注)会場には駐車場はございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用になるか近隣のコインパーキングをご利用下さい。

●大阪メトロ・堺筋線 恵美須町駅 1A出口 右手(北)8分


【キャスト】
日枝美香L / 尾松由紀 / 山名伸右 /豊田圭/
魔人ハンターミツルギ (以上、超人予備校)
池下敦子 / あゆみ / 留奈(Cheeky☆Queens) / 森世まゆみ/
森嶌正紀 (ティッシュの会) / さかいしんご (ババロワーズ) / 友井田亮/
北野勇作 (劇団★虚航船団パラメトリックオーケストラ)/
りん=昇竜之助 (魚クラブ)

【振付】
白川紀子 / 山田玲子

【スタッフ】
舞台監督:青野守浩 / 照明:鎌江文子/ 音響:大西博樹
受付:姫野ねむり / 撮影:森達行(もみあげフラメンコ)/
宣伝美術:阿保知子、まゆぽん / ソウル大臣:アボンボ/
web制作:山名伸右 / 制作:超人予備校


【チケット料金】
[一般]
前売 2800 円/当日 3000 円
[割引]
U-22(22歳以下):1500 円
高校生:1000 円/小中学生:500 円
(U-22は年齢を証明するもの、中高生は学生証を提示要。)
リピーター割引:1500 円 (半券提示要。予約可能。)

【予約方法】
8月17日(土)0時より予約受付開始

[早トク]9月11日(水)0時までにご予約された方は、会場にて"おまけくじ"をひいていただけます。(注:料金は通常の前売料金です)

〔Corichで予約〕予約完了後すぐに、自動返信メールが送信されます。URL付きメールの受信を拒否されている方は、設定を解除してください。ticket@corich.jpよりメールをお送りしますので、受信許可設定をお願いいたします。

■PC用:
https://ticket.corich.jp/apply/101946/
■携帯用:
http://ticket.corich.jp/apply/101946/

🐫劇団ホームページ🐫
http://www14.plala.or.jp/choyobi/


2019年9月19日木曜日

大工哲弘

涼しくなってきた頃に毎年、このCDを聴いているような気がする。

大工哲弘

沖縄の八重山民謡の第一人者です。アマチュアとして歌を歌ってきた人ですが、CDは一杯出してますねえ。その中でもこの「大工哲弘」は一番いい出来なんじゃないかな。知る人ぞ知るレーベルoff noteから出ている。
ちょうど僕が就職した頃に沖縄民謡をよく聴いていて、その頃にこのCDも買った。
もう、大変なものを買ってしまった、って興奮したね。
沖縄の、というか八重山の民謡を選んで、最小の楽器で構成したもの。賑やかしの島太鼓や笛は録音されていない。すべては静かに、でも心に熱のこもった歌い方。ジャケットの月と海の写真もいい。

同時期、沖縄民謡の人はポップスにも手を出して、どんどん沖縄以外でも売れていった時代だった。ネーネーズはプロデューサーが知名定男。大工と同年代。あと、りんけんバンドは照屋林助の息子、林賢がつくったバンド。BEGINも沖縄出身であることを隠して東京でデビューしてた。誰が見ても沖縄の人やけどね。

このポップス路線とは違う方法で大工も民謡を核にした、クロスオーバー作品を出していた。

「YUNTA & JIRABA」

プロデューサーには梅津和時。ジャズ系、ワールドミュージック系といっていいだろう。やりたくなるのはわかるけど、ちょっと失敗作かな。どの曲もコード音楽的になっていて、コードを拒否する本来の民謡のメロディが全然生かされていない。演歌っぽくなってる曲はまあまあいける。でも、どれも珍しい以外に言うことはないと思う。
あ、最後の曲「与那国しょんかねー」だけはかなり良いです。
でもこのあとに、超最高傑作のアルバムが出ることになる。

「OKINAWA JINTA(ウチナージンタ)」

チンドンの祖先であるジンタが沖縄にも伝わっていて、日本の本土でよく知っている曲が歌詞を変えて歌われていたらしい。それをチンドンスタイルで演奏している。
鉄道唱歌のメロディが1曲めと最後に入っていてどちらも歌詞が違う。「カチューシャの歌」なんか超有名曲やけど、このスタイルのための曲のように感じるほど。「東京節」もチンドンスタイルがぴったり。
政治的な曲もある。「沖縄を返せ」は沖縄返還運動のときに作られ、歌われたらしいが、主体がはっきりせず、当時は日本からも沖縄からも微妙な扱いをうけたらしい。そういう歌を大工はあっけらかんと歌い飛ばす。この人しか歌えないのかもな。「水平歌」が中川敬しか歌えないのとよく似てる。
これも梅津和時のプロデュース。メンバーも、東京のチンドン屋さん長谷川宣伝社、高田宣伝社、たまの石川浩司、クラリネットの大熊亘、チューバに関島岳郎(栗コーダーカルテットの人です)、サックスは中尾勘二、と曲者ぞろい。
ここに落ち着いて正解やったね。同企画のCDがこの後もう1枚出ます。

これが1994年やから、次の年1995年には阪神淡路大震災でソウルフラワーもののけサミット(ソウルフラワーユニオンのチンドン部隊)が被災地での電気を使わないフリーライブを行うのです。その下地はもうあったんやね。
とにかく素晴らしいアルバムです。これも曲者レーベルoff noteから出ています。見つけたら買っとかなあかんよ。

一番初めの「大工哲弘」、これを聴いてるとよく思い出すのが、ポール・ヒリアーの「DISTANT LOVE」というアルバム。

古楽なのですが、12世紀のヨーロッパのトゥルバドール(南仏の吟遊詩人)、Jaufre RudelとMartin Codax(こっちは13世紀)の作品集です。音楽がついてないのもあって朗読されてます。
楽器がローレンス・キングのハープ、プサルテリーのみという、しっとりした内容です。
これも名盤だと思うのですが、あんまり話題にはなってなかったかも。

なんでこれを思い出すのかわからんけど、僕の中では近いところにいるようです。
強引に古楽に持っていった感が半端ないですが、まあそういうことです。

2019年9月4日水曜日

細野晴臣のアンビエント

細野晴臣のアンビエント作品を久しぶりに聴いてる。
お気に入りのCDをいくつか、無理やり紹介しますね。最後まで読むんだよ。

「オムニ・サイト・シーイング」
買った当時はピンときていなかったけど、アラビア系の音楽を取り入れてるようです。といっても、日本の民謡、江差追分から始まるように、いろんな国の音楽をごちゃ混ぜにしています。ちょうどワールドミュージックブームが来る頃の作品。久しぶりに聴くと、こっちの聴き方が変わっていて驚く。89年作品。

「メディスン・コンピレーション」
93年作品。ジャケットが緑地にカラスの影。ネイティブアメリカンへの興味が強く感じられる。60年代終わり頃から流行ったカルロス・カスタネダの呪術シリーズからの影響。文化人類学者カスタネダはペヨーテというきのこを調べるためにインディアンの先生に弟子入りして、その使い方を教わってゆく。その中に銀色のカラスになって空を飛ぶシーンがある。

「LOVE PIECE & TRANCE」
遊佐未森、小川美潮、甲田益也子、細野晴臣のアンビエントユニット。95年作。
歌の3人のアルバムというより細野晴臣のカラーが強烈に出ている。極楽浄土的音楽。ライナーノーツは文化人類学者の中沢新一が書いている。当時、中沢新一の本を読みまくっていたな。

「マーキュリックダンス」
YMO散開の後、すぐぐらいだったと思う。NHKでの特集で天川弁財天社で奉納演奏する様子を見てびっくりした。こんな音楽をやりたいと当時は思っていた。85年作品。

ここからは、ちょっとハードよりなディスク。
「N. D. E」
ビル・ラズウェルとの共作。95年作品。当時はデトロイトテクノや、それから派生したベルリンのテクノが流行っていた。それにちょっとは近いのかな?でも雰囲気は全然違う。買ったときはピンとこなかったけど、後からジワジワ好きになってずっと聴いている一枚。

「Interprocess Organization」
これもビル・ラズウェルとの共作。僕の友人たちの間では「細野さんがドラムンベースをやり始めた!」という噂がたっていた。98年作。前作「N. D. E.」と違って派手な印象。CD買ってきて初めて聴いたときには興奮したのを覚えている。これもずっと聴いてきた一枚。

それと、忘れてならないのはYMOの前に発売されていた、
「コチンの月」
なんと横尾忠則との共作で78年作。横尾忠則がYMOに入るという計画もあったらしい。このディスクと坂本龍一の「千のナイフ」はYMO前夜の静けさという感じがする。YMOがいかにポップなのかがわかる。

もう数枚持ってるけど、ここらあたりがお気に入りなのです。
細野晴臣の音楽は、これらのようなシンセサイザーを使ったものの他に、アメリカ音楽の影響をうけたバンドものもあります。そちらもいいディスクが多いな。
最近ではスティールギターの高田蓮やサケロックの伊藤大地(Dr)など、若手ミュージシャンが参加。あんまり売れないらしいけど内容は素晴らしい。