2016年3月20日日曜日

プリンチピ友の会プライヴェートコンサート

今年度もプリンチピ友の会プライヴェートコンサートが終了しました。
神戸雲内教会にて。六甲にある、こじんまりとした素敵な教会です。

今回はプリンチピには珍しく「イギリスもの」。
プログラムは次のとおり。

Go from my window / Anon.「私の窓から出てお行き」/ 作者不詳
Fine knacks for ladies / J.Dowland「新商品ですぞ、ご婦人方」/ J.ダウランド
Full fathom five / R.Johnson「五尋の深みに」/ R.ジョンソン
Can she excuse my wrongs/ J.Dowland「彼女は言い訳できようか」/ J.ダウランド 
Mrs winter's jump / J.Dowland ウインター夫人のジャンプ / J.ダウランド
Fly from the world / A.Ferrabosco II「この世を飛び出し」/ A. フェラボスコ2世
Burst forth my tears / J.Dowland「ほとばしる我が涙」/ J.ダウランド
Watkin's ale / Anon.「ワトキン氏のエール 」/ 作者不詳
Nottingham ale / Anon.「ノッティンガム エール」/ 作者不詳
Of ale / T.Ravenscroft「グイッとあおれ!」/ T. レイヴェンスクロフト



リュート奏者の小出智子さんがゲストです。
得意分野なので水を得た魚のように泳ぎまくります。
また、当時の作曲家でリューティストのジョン・ダウランドについてのお話や、「ウインター夫人のジャンプ」という曲名についているウインター氏は何者なのか?などのマシンガントークも面白い。

笠原さんの奥さんである訓子さんは普段はコルネットを吹くのですが、今回はリコーダーも吹いていました。やっぱり上手いなー。


最後は笠原さんらしくお酒にまつわる曲「ワトキン氏のエール 」「ノッティンガム エール」「グイッとあおれ!」3連発。

海外にはお酒にまつわる歌が多いですね。
日本でいうとマジメなとこでは八代亜紀「舟唄」、ふざけているものではバラクーダー「日本全国酒飲み音頭」という感じ?違うかなー。

平成28年度のプリンチピ友の会新規会員、まだまだ募集中です。よろしければどうぞ!
お問い合わせはプリンチピ友の会事務局・小松(cphmn700@hct.zaq.ne.jp)まで。

(写真は田中秀明さんの撮影です。いつもありがとうございます。)

2016年3月18日金曜日

落語

初めて天満の繁昌亭に行ってきました!
月亭文都さんの芸歴30周年記念の落語会です。



僕にとって月亭文都さんは、いつも劇団超人予備校に客演で出ている落語家という感じですが、「ハナシをノベル」などでミツルギさんの作品をやるときには見に行ってました。「ハナシをノベル」では新作落語なのですが、今回は直球の古典。

演目は、
「兵庫船」月亭秀都
「寝床」月亭文都

中入り後、
「元猫」月亭天使
「親子茶屋」月亭文都

始めは入門2年の秀都くんの「兵庫船」。これは去年、「ハナシをノベル」で見た。そのときは全然面白くなかったけど、今回は船に乗ってるとこなんか目に浮かぶ。まだまだかもしれないけど、去年より数段良くなってる!こんなのを見れると嬉しいですね。

次に文都さんの「寝床」。文楽の義太夫を、素人ながら語りたい旦那が、町内の人々を集めて、義太夫を聞かせようとする話。素人語りなので当然みんな聞きたくない。けど、お酒や料理は食べたい。そんなことで発生する面白いエピソードを噺にしてある。
マクラで文楽のことが説明される。文楽と今のポップス(サザンオールスターズの曲で説明されてました)との違いなど、音楽をよく知っている文都さんならではの解説もあり面白い。
で、本題に入っていくんですが、この噺、なんとなく知ってましたが、こんなに面白いとは!
旦那の役で発声練習を「おい定吉、あーあーーああー♪」なんていちいち入れてくるとことか面白い。

中入り後、月亭天使さん。天満宮で猫が「人間になりたい!」とお願いして人間になるって噺は「元犬」の猫バージョンですね。なかなかいいやりかた。でも、猫が男(?)だったのがちょっと違和感。天使さんは女性なので、猫を女にしたらもっと面白い噺になったかも。再考願います。

最後は文都さんの「親子茶屋」。大店の旦那が遊んでばかりいる息子に意見する(なんとなく僕には居心地悪いな)が、軽くあしらわれてしまう。でも息子に負けない極道者で、遊びに行って大宴会を催すが、そこに息子が、親が遊んでるとは知らずに、同じ宴会に入ってしまう噺。
ちょっと集中力が途切れたか、と思われるところが少し見受けられた。
が、スムーズに噺は進み、楽しませてくれる。噺は面白いし、その面白さも十分伝えられてた。
少しの傷って演者にとってはどうなのだろう。すごく気にしているかもしれないし、全然平気なのかも。



素人の僕にはどちらかわからないが、ギターやリュートを弾いていて、ノーミスで弾けることはない。でも、「よく出来た!」「あんまりうまくいかなかった。。。」と両方ある。

数年前、日本を旅している、ある劇団の人が、「出来なさすぎてもいけないけど、上手くいきすげてもいけない」って言ってた。面白い事言うな、と思った。

いやー、初繁昌亭、ほんと面白かった。また行こう。
今度は寄席にも行きたいなー。

2016年3月15日火曜日

音の粒を揃えることはいいことなのか

先日、京都のカフェモンタージュ(かなり濃いクラシック奏者が出演する場所)で、我が師匠である竹内太郎氏のライブがありました。バロックギター(コピー楽器でなくてオリジナル!)での演奏。

僕ら弟子達にはおなじみの、いつものリラックスした、でもそれでいて興奮するような演奏。
プログラムはクラシックギター奏者にはおなじみであるド・ヴィゼの「ニ短調組曲」、「パッサカリア」「仮面舞踏会」、コルベッタのシャコンヌ、即興のスパニョレッタなど。
ド・ヴィゼの組曲は、本当は組曲としては書かれていなくて、同じ本に入っている同じ調性の曲を取ってきてまとめて演奏するもの。竹内師匠としては「組曲」って書きたくなかったのでしょうが、日本でのクラシックギター界では「組曲」って書くのが一般的、というか、そう書かないと通じないですね。

本当にいいライブでした。楽譜通りではなくて、完全に曲を消化して、自分のものにして弾くこと。ロックやポップスの大舞台のもショー的で面白いけど、本来、音楽ってこういうもんなんやな、と思わせてくれる内容でした。このレベルの音楽家を普通に聴ける(観れる)ようになったらいいな。

で、ライブ会場でCDを買いました。


「可愛いナンシー」。バロックギターとイングリッシュギターというマニアックな内容です。バロックギターの音なんか、渋めの、低いけれど同時に高い音成分が聞こえるような、なんとも言えない音。

僕がリュートを始めた頃は、この音の逆で、古楽器というとコロコロと転がるようなクリアな音の楽器で録音されたものをよく買いました。それが古楽器(リュート、バロックギターなど發弦楽器)の音だと思ってた。竹内師匠に習い始めてから、師匠は全然違う感覚をもっているな、と気づいたのはここ数年、最近のことでした。

昔の自分では、この音(竹内師匠の音)をいいとは思わなかったでしょう。でも、悪い音ではないのです。クリアではないですが、喋ってるような感じっていったらいいのかな。朗々と歌う感じではないのです。今は、こちらでないと居心地が悪いかな。音と音楽への考え方を含めての話。

最近は19世紀〜20世紀初め頃の演奏も、現代的にやるのではなく当時の方法でちゃんとやってる人、増えてきましたね。YouTubeでもいい感じのものが見つかります。僕らが少し前まで持っていた感覚と明らかに違う。

音は粒を揃えない、クリアな音質を求めない、演奏を均質にしない。

数学などでは均質な平面、空間を扱いますが、逆にフラクタル幾何学などでは、自然は均質ではない、ということも発見されています。
哲学でもメジャーな「白人男性」をやめて「有色人種」「女性」「マイノリティ」になれ、なんていう人もいます。

現代の学問は僕らが考えているような「平均」「均質」を考えていないですね。
古楽の最先端と現代学問の最先端が奇妙に一致します。

そろそろ均質、平等を求める考え方とは決別しなくてはいけません。






2016年3月8日火曜日

「本読みの遠足」の曲紹介

ミツかね堂とバナナ部の怒涛の2日間、「本読みの遠足」と「おはなしえん 春編第1回」が終わりました。
イベントにきていただいた皆さま、ありがとうございました。

「本読みの遠足 はなしたいことがまやほどある」〜北新地から摩耶山へ〜。
いつもの「本読みの時間」のラジオドラマのような完成度とはちょっと違ってましたね。ミツかね堂とバナナ部のモッサリ感が盛り込まれて不思議な感じになってました。

今回、選曲の半分ぐらいを任せてもらえたので、ちょっと曲紹介を。
まず北新地公演から。



「あいうえおちゃん」の後はGONTITIの「Tiny Lips」でした。北新地のオシャレ感を出そうと、ボッサリズム&ジャズっぽいコードに内藤翔くんのウクレレがオシャレに絡んでくるというものです。アンデス25Fのほのぼの感ももちろんありましたが、都会感を出したかったのです。

「2の誕生日」の途中は、バナナ部ではおなじみ「Some Happy Day」を原曲がわからないようにコードを変えて2回放り込みました。楽しい感じと寂しい感じ、出せてたかな。最後は「ハッピーバースデー」を翔くんのソロで。

ウクレレソロの最後のコードCをそのまま伸ばしてアルプスの少女ハイジ「おしえて」が始まります。もちろんエンディングは「まっててごらん」です。なかなかイントロが凝っていてオイシイのですが、うまく弾けませんでした。

「ボッコちゃん」ではラテンフレーバーな「テキーラ」。これは「おはなしえん」でアンデスの清家さんが選曲したもので、それをこっちにも持ってきました。

「マザーグース」は僕と翔くんの完全フリーのインプロです。怖い感じ、不安な感じ、最後に日が差してくるイメージでした。

「小さい『つ』が消えた日」では「いい日旅立ち」「イマジン」「ピアノマン」と、途中翔くんのつなぎ演奏。
「イマジン」は五十音村で一番賢い「こ」さんの提案をジョンレノンの語りにだぶらせました。
ビリージョエルの「ピアノマン」は泣けますね。家で練習してるときにもうるうるしてきます。いい場面で使ってもらいました。このイベントのハイライトです。

続いて摩耶山公演。


「あいうえおちゃん」の後、すぐに「おしえて」。ハイジのエンディング「まっててごらん」。

「ならず者18号」では、翔くん作曲(?)のならず者登場曲と最後にイーグルス「デスパレード」。翔くんの提案。翔くん若いのにこんな曲知ってるんや!

「冬きたりなば」ではコマーシャルソングとして「マクドナルド」「有馬兵衛の向陽閣」「サッポロ一番味噌ラーメン」でした。みんな知ってますよね。
お祭りのシーンでは南米フォルクローレの「花祭り」。
最後にミツルギさん選曲で「冬のソナタ」。これ言われたとき思い出せなかったけど、聞いたら「あー!」ってなる曲です。

「これはジャックのたてた いえ」は翔くんのリズムで甲斐さんのラップ(???)が聞けました。

再び「小さい『つ』が消えた日」では「アイスクリームのうた」「ピアノマン」「イマジン」。
最後に僕の一押しの「人生はまるで登山列車のようだ」。これも練習してると泣けるんですよねー。そんな曲じゃないのに。これをやりたくて摩耶山公演が楽しみでした。幸せになれる曲です。

移動がハードでしたが、本当に楽しいイベントでした。
バナナ部にとっては内藤翔くんという超絶技巧ウクレレプレイヤーと一緒に出来たことがなにより刺激になりました。ちょっとだけ上手くなった気がしますね。(ん?なってない?)
それにしゃべることをお仕事にされている甲斐さんの後ろに音楽を入れるのは始め緊張しましたね。邪魔してないやろか?と心配でした。(なぜかミツかね堂では緊張しない???)

企画してくれた甲斐さん、出演者の皆様、バーF∀KEのマスター、monte702のスタッフの方々お疲れ様でした。