2016年12月22日木曜日

みつカネかい?のくりスマスかい?

今年はイベントによく出演した年でした。
音楽だけというのは少なくて、朗読の後ろで楽器を鳴らすというのが多かった。選曲は任せてもらえることが多かったし、月1回はなにかしら出番があったので、楽譜書いたり練習したり、忙しくも楽しい毎日でした。出番が多いと、なんか、なんでも出来るような気がしてくるから不思議です。ありがたや。

さて12月、今年最後のイベントは、3月の「本読みの遠足」の続きのような朗読イベントです。

「みつカネかい?のくりスマスかい?」
日時:2016年12月 24日 (土) 15:00〜/12月 25日 (日) 15:00〜
公演時間:40分程度
料金:投げ銭
会場:やままちギャラリー内 特設和室
〒542-0061 大阪市中央区安堂寺町1-6-16
地下鉄谷町線 谷町六丁目駅6番出口より北東約1分

出演:
魔人ハンターミツルギ(ミツかね堂)
ふくいあかね(ミツかね堂)
甲斐祐子(「本読みの時間」)

演奏:小松一也(バナナ部)
おやつ:イケやん








僕はギターを弾きます。今、猛練習中。
もちろんクリスマスにちなんだ内容です。きっと面白いと思いますよ。
イケやんのおやつも楽しみです! 乞うご期待!!!

2016年12月18日日曜日

デュファイとバンショワ

長年欲しかったけど手に入れられなかったディスクが手に入った。




アンサンブル・ジル・バンショワ
「デュファイ/バンショワ(ブルゴーニュシャンソン集)」








いろいろと古楽のCDを物色していた2000年代に「古楽CD100選」という本で知った、アンサンブル・ジル・バンショワはフランスの合唱グループ。ドミニク・ヴェラールがディレクター。いろいろ聴いてみたところ中世/初期ルネサンスのディスクがとても良い。

このディスクはフランスのハーモニックレコードというマイナーレーベルから出ている。このレーベル、すぐに入手困難となることで有名らしい。倒産したわけではなさそうだ。

このディスクは1987年に出ているようだが僕はCDショップで見たことがない。この前、タワーレコードのホームページでやっと見つけた。なんとCDではなくてCD−R。再プレスするんじゃなくて、ひょっとして社長みずから手焼き?
でも、今買わないとなくなるかもしれないから買っておく。

これはメジャーレーベルから出しても売れますよ。名盤です。
デュファイとバンショワのバラッド、ロンドーなど世俗曲を歌と楽器で。暗くなりがちなこの時代の音楽を、みずみずしい演奏にしている。歌はもちろん良いが、楽器の演奏がいい。フィドル、リコーダー、リュート、ハープが使われている。
80年代の古楽の録音はいいものが多いのかな。録音も綺麗。





アンサンブル・ジル・バンショワ
「ジル・バンショワ シャンソン集」







グループ名にするだけあって、バンショワのシャンソン集も出している。
こちらも好きなCD。寝るときによく聴いている。これはバージンから出ているので、まだ手に入りやすいかな。たまに他のディスクと抱き合わせの2枚組で出てるときもあるから、買うときは気をつけた方がいいですよ。でも買っちゃいますけど。




アンサンブル・ジル・バンショワ
「雉の祝宴」







同じ時代の音楽で、やはりデュファイ/バンショワを中心とした録音で、「雉の祝宴」も名盤。最近(去年か)再発されています。これもよく聴きますね。

ホイジンガの「中世の秋」という本の中に、この雉の祝宴の模様が書かれている。ブルゴーニュの王様(フィリップ善良公)が、十字軍遠征のため「雉の誓い」をたてて、それを祝した大宴会をしたらしい。そのときの音楽を再現したのがこのディスク。僕が持っているのは2枚組になってたやつ(デュファイのミサ曲との抱き合わせでお得なディスクです)なんで、ジャケットが違うし、日本語解説がなかったので、去年再発されたこれも欲しいな。
そういえば、かなり前に「雉の祭典」でブログ書いてました。しょうもないこと書いてるけど怒らないでね。

一時期、よく買ってたアンサンブル・ジル・バンショワですが、なかなかの名盤ぞろいです。

2016年12月17日土曜日

プリンチピ10周年

アンサンブル・プリンチピ・ヴェネツィアーニの結成10周年記念コンサートを聴きに行ってきました。今年はスタッフではなくお客さんで。

メンバーは、
大内山薫(バロックヴァイオリン)
頼田麗(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
野澤知子(チェンバロ)
上野訓子(コルネット)
笠原雅仁(バリトン、テオルボ、バロックギター)

鈴木美登里(ソプラノ)(特別ゲスト)

普通でも豪華なのに、特別ゲストに鈴木美登里さんです。古楽界の大物ですね。
鈴木美登里さんはソロの活動と、声楽アンサンブルで中世からバロックまでの広範囲をカバーできる稀有な存在です。

鈴木美登里さんが入るだけで、ものすごく引き締まった、緊張感のある演奏になっていた。後半2曲目のG.F.サンチェス/「暴君のような恋人は」では、パッサカリアの下降音型に乗っかって自由に歌が展開される。これでもか、というくらいに劇的に。それまでのルネサンス音楽とは違う、人間の感情を直接表現するようなバロック音楽が始まった、って感じです。

その他、初期バロックの世俗歌曲、ヴァイオリン/チェンバロ/ガンバのソロ曲、器楽合奏曲と盛り沢山な内容。

プリンチピの皆様、10周年おめでとうございます。面白いながらも大変な10年だったと思いますが、まわりの者からみると、こんな貴重なアンサンブルは他にはありません。
これからも応援していきますよ。

2016年12月9日金曜日

クリスマス物語

世間はクリスマスに浮き足立っていますね。三角帽かぶって、ネクタイを頭に巻いて、「ガハハ」と笑っていられるようなサラリーマンを一度やってみたかった。「アホ」って素敵。

「16〜17世紀の宗教合唱曲を歌う会」ってのがありまして、プリンチピの笠原さんが指揮、歌や楽器の指導はプリンチピ関係者という、ほんとに素敵なアマチュア団体がありますが、今年は聴けてないんですよね。いつもは受付を手伝っているのですが、「おはなしえん」の前日、それも1回しか全員集まらない稽古だったんで、ごめんなさーい、って感じで欠席しました。
アマチュアって言っても、ソロをとるのは関西のトップ歌手、それぞれのパートのソロも、半分プロみたいな人がオーディション受けて歌ってるんやから、そらしっかりしてますよ。もちろん合唱、楽器の人もオーディション有りです。

今年はシュッツの「クリスマス物語」でした。
この曲、聴いたことがなかったので、買ってきましたよ。


アンドルー・パロット指揮、タヴァナーコンソート、合唱団&プレイヤーズ「シュッツ クリスマス物語」です。80年代の録音。このジャケット、よく見てた気がする。90年代後半に古楽を聴き始めた時によく売ってたように思う。

ソロの歌手が豪華です。ソプラノ(天使役)はエマ・カークビー、テノール(福音史家役)はナイジェル・ロジャース。ナイジェルは笠原さんの先生ですね。
なんとロンドンのアビーロードスタジオ録音です。クラシックファンにはどうでもいいことでしょうが、ビートルズファンには見逃せないところです。

シュッツはバッハより1世紀前にドイツで活躍した音楽家。
この曲は聴きやすいですね。福音史家のレチタティーヴォ(「歌」でなく「語り」の部分)もバッハのように厳しくはないし、全体にやわらかい印象。歌と楽器が溶け合っていい気持ちにさせてくれる。

80年代の録音って、実はあんまり聴いていない。録音レベルが小さいし、2000年0年代以降のポピュラー路線にも乗っかる前なのでわかりやすくない。そんな感じが、ちょっと初心者には買うのをためらわせるようなところがあったかな。ジャケット見ても、売ってやろうって感じがないですね。クラシックファンの中に一定数いる古楽ファンに売れればいいよ、ってことでしょうかね。

でも、売れたい気満々の0年代ポピュラー古楽を聴いた後では、こちらの方が説得力があるように感じられる。そらそうやな。大衆受けを狙わず、ちゃんと楽曲の理解を経たうえで、その時代のトップ奏者がやってるんやからな。でも、0年代のは今のクラシックの売り方ほどひどくないですけどね。ちゃんと知識があって上手い人がやってます。売り方の問題かな?

今のクラシック、特に日本では、どのくらい勉強してるかってとこは、1日どれだけ練習するか、ってことにすり替わっていますね。また、楽器やいろんなものから霊感をもらうことをやたらと口にする。イケメン(男はロン毛も多い)と美人が多いのも特徴。SMR河内さんはそのセオリーを忠実に守っただけなんですよね。
やってる本人はバッハとベートーベンとブラームスがいつの時代かわかってないらしい。。。すみません。それはあんまりですね。言い過ぎました。でも普通、クラシックを聴かない人はそんなもんですよね。そんなもんでも顔が良くて(ここ重要)指が動けば、日本では一時的にスターになれます。あとであの人が千の風になったように、その場に長くいることはできませんけど。僕もロン毛にしようかな。
ああっ、僕としたことが。つい、愚痴と毒を吐いていました。

そういう軽いクラシックもどきなんか聴かずに、70〜80年代録音の古楽を聴いてる方が面白いですよ。でもその頃のディスクってほんまにいいな。こういう演奏、もっと再発してほしいし、日本でもこういう演奏ができる団体が増えてほしい。

2016年12月5日月曜日

ネーデルラント楽派の音楽

またまたデイヴィッド・マンロウのお話です。

「ネーデルラント楽派の音楽」購入。これは昔ヴァージンから出ていたものと同じですね。昔は3枚別々で買えたんですが、今度は3枚組。

実は、3枚目のモテット集以外は20年ぐらい前に買ってたのですが、今見返してみると1枚目は売ってしまった模様。これを買った当時、リュートには興味があったのですが、他の古楽となると、あんまり知らなかったし興味なかったのが思い出されますね。でも、リュート以外も聴いてみよう!という意欲があったことがわかります。

今、20年ぶりに聴き返してみると、宗教曲ももちろんいいのですが、世俗曲でのマンロウの天才ぶりが納得できます。それに、一番いいディスクを売ってしまっていたことに愕然とします。その当時の聴き方は今と全然違っていたということですかねー。とほほ。

今、聴き返してみると、ほんとに名盤だと思う。
歌手陣が充実してるのと、楽器も今、大御所になっている人が多数。今から見るととんでもないオールスター陣営だったことがわかります。
3枚は次のように分類されています。

1、世俗歌曲集
2、器楽合奏曲とミサ曲
3、モテット集

分類されているといっても、歌曲は器楽と一緒に演奏しているし、図鑑のような感じではなくて、その時代の音楽を俯瞰しつつも中にどっぷり入れるようになっている。

吹奏楽器ではビービーという濁った感じの音(クルムホルンなど)がよく出てくる。なにもわからないままで初めに買った当時は、この音が嫌いでした。ルネサンスというと、もっと透き通った音をイメージしていたのです。最近発売されている若手による演奏では、この透き通った音を目指しているように思われます。綺麗なのはいいのですが、今の売れ線をなぞったもののような気もしてしまう。そういう媚びた考えのない、演奏家と研究家のプライドが、マンロウのディスクからは感じられます。

マンロウという大家となると、ちょっと間はあきますが、絶対にディスクの再発があるんですよね。マンロウ以外にも、ヒリアードアンサンブルとか、アントニー・ルーリーのコンソートオブミュージックとか、70年代80年代の録音はわりと再発ありますね。ほんまに嬉しいことです。



2016年12月1日木曜日

マンロウとブリュッヘン

うーん。12月ですねえ。1年はほんとに早いもんです。
この前から書いてるマンロウの続きです。

デイヴィッド・マンロウはリコーダー奏者、という知識が最初にあった。だけどCDを買っていくと、ほとんどリコーダーは出てこない。歌かリコーダー以外の吹奏楽器の録音が多い。リコーダーはそのうちの一つの楽器として出てくるのみ。
一方、同時代のフランス・ブリュッヘンは18世紀オーケストラの指揮をする前はリコーダーとトラヴェルソ(昔のフルート)の奏者だった。

リコーダー奏者としてはブリュッヘンが好き。マンロウはというと、実はリコーダーのディスクを持っていなかった。買ってきたのを最近聴いている。聴いてみるとブリュッヘンもマンロウもどっちも良い。
(デイヴィッド・マンロウ 愛の笛)


でもリコーダー奏者としたらブリュッヘンの方が好きかな、と思う。何故か。ブリュッヘンは若い時はピッチを正確にきちんと吹いていた印象だったけど、途中から吹き方が全然変わってしまう。それはオリジナル楽器(その楽器が使われていた当時に作られた楽器。いわゆる本物。)を手に入れた時からだという。僕は、その変わった後の演奏が好きなのだが、それはその頃のどの録音を聴いても「寂しい」印象をあたえる。自分の芸術が高まっているのに、周りはそれをわからないもどかしさというか、売れてるのに実は誰にもわかってもらえていない寂しさというのか、とにかく孤独な感じがする。当時の音楽にあったかどうかはわからないけど、奏者として、芸術家としての「寂しさ」を感じてしまう。これがブリュッヘンの魅力だと思う。バロック音楽を理論的に突き詰めながらも自分が出てしまう、という。
ブリュッヘンは晩年、リコーダーをやめてしまい、オーケストラ作品の指揮に専念する。この辺のモーツァルトの録音は好きだけど、他は「うーん?」な感じ。でもこれは個人的な意見で、ベートーベンの録音も評価は高い。
しかし、90年代にリコーダーを復活。録音したものが素晴らしい。グロッサレーベルから出た「The Passion of reason」はマショーの時代からバッハまで400年ほどを俯瞰した内容。常に漂う厭世観。
(フランス・ブリュッヘン The Passion of reason)

一方、マンロウはリコーダーの録音もやっぱりいい。「ちょっとマンロウの笛はイマイチかなー」なんて言ってた昔が恥ずかしい。音楽として素晴らしいし「喜び」を感じる。

僕は(というか一般的な見方だと思うが)マンロウはリコーダー奏者ではなくて、中世・ルネサンス音楽のスペシャリストという見方をしていた。これは、当時の演奏習慣を調査・勉強し、それを現代でも聴けるようにいろいろと工夫を凝らしている。それも歴史的に忠実と思われる方法で。バロック期のリコーダーの演奏も達者でいいものやけど、ノートルダム学派(ゴシック期の音楽)とか、デュファイ、バンショワの音楽などの録音が最高。
(デイヴィッド・マンロウ ミサ「私の顔が青ざめているのは」/デュファイ)


若い人が、この頃のマンロウの音楽にしびれて、デュファイの「私の顔が青ざめているのは」によるミサ曲を録音している。それを数年前に買って、長らく愛聴盤だったが、マンロウの同じミサ曲の録音を前にすると、それも廃れて聴こえる。マンロウの録音は70年代、40年ほど昔だが、それが今でも色あせていない。