2017年11月27日月曜日

聖母マリアの晩課

「16〜17世紀の宗教合唱曲を歌う会」の第4回演奏会が11月25日にありました。神戸聖愛教会にて。
この会のもともとは松陰でやってた合唱講座です。笠原さんと上野さんが講師として呼ばれていました。それが独立して、今回のように外で教会を借りてやるようになったのです。歌、楽器共にオーディションを行い、出演者を決めています。
僕は、第1回じゃなくて、その前かな。オーディション無しの時が1回だけあって、その時に出してもらいました。もちろんリュートでですが。その時は歌の全パートをリュートに置き直す作業をして、それを見ながら弾いていたのですが、なんとなく消化不良でして、それでしばらくは裏方の手伝いをしていたのでした。

今年はその手伝いもなく、初めて客としていきました。なんと入場者は200人超えているという噂が。

モンテヴェルディ作曲の「聖母マリアの晩課」。第1回目か2回目にもそれをやってましたが、今回は素晴らしい出来でした。冒頭の合唱とコルネットの印象的なフレーズで、あやうく泣きそうでした。全曲で2時間という長い曲ですが、退屈する暇もなかったですね。

それにしてもすごい曲です。モンテヴェルディが生きた時代はルネサンス音楽の時代。ルネサンスの書き方を踏まえつつ、とんでもなく新しい内容を盛り込むという意欲作で、当時に演奏されたのかどうかの記録も残っていないようです。あんまり斬新すぎて嫌がられたのかな?とにかくいろいろと謎が多いようです。

これが出版された年が1610年。モンテヴェルディが新しい音楽の書き方を始めて、このあたりから、世間で「初期バロック音楽」といわれるような内容になります。人間中心といいつつ、神様のための音楽の域をなかなか出なかった音楽は一気に猥雑さや神聖さが入り混じったものになり、劇的な印象をあたえるものになっていきます。歌も楽器も、装飾をこれでもかというぐらいに盛って、カッコつけます。

僕個人の勝手な印象ですが、「聖母マリアの晩課」はそういうものが全部入ってるように思われます。それ故になのか、それでもなのかわかりませんが感動的です。

出演者や講師に友人が多いのもありますが、こんないい演奏はなかなか聴けるものではありませんよ。行ってよかった。

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さて、以下は宣伝、12月のライブ予定です。

12月3日(日)
「BLUES Brothers&Sisters
〜(ロックンロールの)はじまりはいつもここから〜
場所:尼崎tora(http://live-tora.com/access
西原希蓉美さんのサポートです。
OPEN 17:30
START 18:00
ADV ¥1800(+1D)
DOOR ¥2300(+1D)





















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12月17日(日)
ムジカフマーナ音楽会
「〜魅惑のルネサンス〜ヨーロッパ各地の音楽」
コルネット:森山広、リュート:小松一也
場所:錦花楼(大和高田)、14時開演
コルネットの森山君の伴奏です。

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12月30日(土)
西原希蓉美 with 小松一也ライブ
場所:新聞女
時間:19時30分〜/20時30分〜
21時30分より忘年会を行います。

2017年11月21日火曜日

四神四季

関西小劇場激戦週だった先週。見逃したものも多数。
時間はあるのだけれどお金がない。お金があるときは暇がないのに。
なんとかバランスを取りたいものです。

それでも3つ観ました。
17日に、狂夏の市場11月公演「狼女」。尼崎「とらのあな」にて。
関西で有名な女優さんを4人呼んできて、主宰の岩切さんと絡む、というもの。夏の公演も面白かったけど、今回もすごかった。
西川さんのウクレレ漫談(ん?ちょっと違うけど)、ハシグチさんのエロエロクッキング、空山さんの上手い歌、峰さんの小難しい演劇論のフルート漫談、どれも見応えあり。
バラバラな内容のそれらを岩切さんがうまくまとめていて、面白いイベントになってました。
尼崎の三和市場はシャッター街となってしまってるけど、残っている店が頑張って、怪獣と絡めたイベントを毎月開催。「狂夏の市場」もそのひとつ。三和市場を笑いで蘇らせようとしている。頑張ってほしいな。

18日は三俣婦人会「ゴン駄々吉 第一回生前葬」。千日亭にて。
ゴン駄々吉さんとは何者なのか?
少し前から名前はよく見るし、結構ちゃんとしたお芝居にも出ている。いつも豪華すぎる客演陣。日替わりゲストも豪華。
でも最初から最後まで「???」の連続。テーマも個人的なことからいきなり国家的になり、最後に日本が登場するなどわけがわからない。
わけがわからないのにずっと見てしまう。ゴン駄々吉さん、アホなのか天才なのか?
また観に来て確かめたいと思う。

19日は劇団May「四神四季」。シアトリカル應典院にて。
もう、素晴らしすぎる。
在日朝鮮人の兄弟とその家族を描いたもの。一番上のお姉さんが危篤となり、ゴミ屋敷になっていた、お姉さんが住んでいた家の片付けに、兄弟とその家族が集まってくるところが前半。お姉さんの悪口を言い合いながら、お互いケンカもしながらも片付けていくと、遺影と、おそらく葬式代であろうお金が出てくる。
後半はお姉さんのお通夜。飲んだり食べたりしながら話していくうちに、一番、朝鮮の文化やしきたりを守ろうとしている長男が日本に帰化したことや、それを残念に思うが言葉に出さない義理の兄、また宗教を変えた親戚もいることがわかる。お互いを罵り合いながら、亡くなったお姉さんを悪く言いながらも、それぞれには思い出もある。お姉さんの住んでいた家はもともと兄弟が育った家でもあり、それを手放すかどうか話し合う。いいこともなかった想い出ばかりだけど、最後の砦だと思う者もいる。
でも最後にはどれも決着しないで、お葬式の場面で物語は終わってゆく。

最後の場面でお経を読むのは朝鮮式のお坊さんだった。なんとなく軽やかにも聞こえるのは、旅立っていく先がいいところなのだろうか、それとも、いがみ合ったこの世の中も悪いところばかりではなかったということなのだろうか。

在日の人たちの社会や日本社会との関係、また在日の家に生まれた子供たちの社会との関わり、個人の想いなどが絡まり合っている。

お芝居にはメッセージなんかいらないんですね。人がそれぞれ持っている想いは、優しさや悲しさや怒り、絶望、いろいろあるだろうが、言葉にならないものもある。そういうものがこのお芝居にはあった。
この文章を読んでも素晴らしさは伝わらないだろうけど、途中から涙が止まらなかった。これを書きながらも泣けてくる。いいお芝居を観た、と思った。

というわけで、今回の激戦週、観たどれも面白かったと思う。満足です。

2017年11月15日水曜日

西原希蓉美バースデイライブ@テン

西原希蓉美バースデイライブ、行ってきました。ホルモン焼きうどんテンにて。
今回、僕は半分お客さん、半分出演者です。

19時から1stステージ。伴奏は松本有加ちゃん。
去年の超人予備校本公演の開演前音楽祭にも西原さんの伴奏で出てましたね。有加ちゃんはピアノが上手い。ジャズから昭和歌謡まで、なんでもこなします。
途中、自分のオリジナル曲も2曲やってくれました。かわいい歌声です。
西原さんのオリジナル曲では、今回はゆっくりめのテンポにして、ほんとにいい感じになってました。歌い手がどうやりたいかを、ちゃんとキャッチしてるんですね。さすがです。

西原さんはファンサービスもたっぷりやります。だいたい、笑いに持っていきます。天性のものなんでしょうね。でも、歌はしっかり歌います。

21時からシャンパンで乾杯。と、バースディケーキのロウソク吹き消し儀式です。

その後、2ndステージの伴奏はギターで僕が担当しました。
まずは昭和歌謡から。はじめの2曲は有加ちゃんにも参加してもらって、「愛燦々」「東京キッド」と美空ひばりを。冒頭、ずれたのは僕がちゃんと聴いてなかったからですね、すみません。。。といいつつもだんだんいい状態になってきました。やっぱり上手い人に入ってもらうのは幸せですね。(これは写真がないのです。すみません。)

それから2人だけで「舟歌」。演歌とギターってのは、なんでこんなに相性いいんですかねえ。原曲はピアノみたいですが。「舟歌」が売れたとき、八代亜紀はまだ20代。年齢不詳だったなー。当時は退屈な歌だったけど、今は名曲に聴こえる。

その後、いつもの「プカプカ」「ブラザー軒」。この2曲はほんとにやってよかったなーと思える出来になってきていますね。まだまだ使えるな。

最後に西原さんのオリジナル曲「手ぶくろ」「イタミ」。これは1stステージでの有加ちゃん伴奏バージョンと聞き比べができたと思います。テンポも盛り上げ方も違いますね。
まあ、僕の方は結構ベタな構成をいつも考えてます。わかりやすくしたい、ということね。2バージョン、いかがだったでしょうか?
ライブ終了後のご飯タイムです。焼きうどん、美味しいです。

帰りは遅くなったので、お客さんに車で送ってもらいました。ほんとうにありがとうございました!

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12月のライブが決まっています。

12月3日(日)  西原&小松 尼崎tora
12月17日(日) コルネット(森山君)&リュート(小松)演奏 大和高田
12月30日(土) 西原&小松 新聞女

詳細はまた近づいたら書きます。
予定、あけといてくださいね。

2017年11月9日木曜日

美空ひばり

最近、美空ひばりを調べている。調べているといっても音楽だけだけど。

戦後ちょっとしてからの映画「悲しき口笛」(1949年)の同名主題歌。こんないい曲が当時にあったのか。知ってる曲やけど、改めて凄さを思い知る。ギターで弾いていると面白くて何回も弾いてしまう。2回目の間奏が問題やな。どういう風にするかなー。タキシードにシルクハット、有名な写真ですね。
そのすぐ後の「東京キッド」(1950年)もいい。当時のジャズ風歌謡曲。これは美空ひばりの有名曲では一番気に入っている。弾きながら泣いてしまうな。悲しいものより、悲しさを裏に隠した明るいものに涙してしまう。
ガラッと変わって、1966年の「悲しい酒」は演歌。クラシックギターのイントロとオブリガードが印象的な曲。僕は飲んでるときは大体笑ってる。一人のときはどうなのかな。ニヤニヤはしてないと思ってるけど。こんな酒は飲みたくないけども、しみじみと味わってしまう曲。どこかでやってみたい。

美空ひばりの映画は観たことがないけれども、1949年から60年代終わり頃までの映画出演数にはびっくりする。1950年なんか11作も出てる。
えっ?月1回ぐらい撮影してたの???
昭和のスターってすごいな。

美空ひばりではないけど、八代亜紀の「舟歌」は1979年。最近は美空ひばりと同じくジャズも歌う八代亜紀だけど、これが流行った頃は、テレビで八代亜紀が出てくると、「あー、退屈〜」って思ってた。でも改めて聴いてみるととんでもなくいい。最近ではマダムギター長見順さんがロックバージョンにして歌ってる。それもかっこいい。

戦後すぐから80年代のアイドル歌謡が出てくるまで、歌謡曲全盛時代。普通に歌っても歌詞が聞き取れるし意味がわかる。深い意味が隠されてる場合もあるかもしれない。この頃のヒット曲はいろいろと勉強になるな。

2017年11月6日月曜日

ヲルガン座の夜

広島にヲルガン座という、喫茶店というか、ライブもできる飲食店があるらしい。
そのヲルガン座が、そこに出演している人達を大阪のライブハウスにそのまま連れてきて、大阪に一夜だけの「ヲルガン座」が出現しました。
「ゴトウイズミ presents ヲルガン座の夜」。ムジカジャポニカにて。
最近知り合ったバグパイプ奏者さんに勧められて行ってきました。
ゴトウイズミさんはヲルガン座を主宰していて、日本や世界でもライブを行っているミュージシャンです。
その他の人達は広島で活躍しているミュージシャン。別のお仕事もやりながら、です。この辺は関西と変わりませんねえ。
上手い人は少ないです。でも、歌がほんとに良いし、上手くないことはむしろ、強みにもなってる。

1番目は、ルーペズのオカハラくん。
若くておしゃれな感じ。ダンエレクトロのギターで弾き語り。この人はギターが上手いです。バッキングとオブリガード、ソロまでいい感じにこなします。歌も上手い。ちょっと器用さが表に出すぎてるかな。いいところ、もっとあると思うな。一番緊張するオープニングですが好演でした。

2番目は、峯くん。
ガットギターのエレアコで弾き語りです。ギターの音は汚いけど、歌の内容や弾くフレーズは美しい。ちゃんと音が選別されていて不要な音は入ってない。
曲がほんとに良かった。歌い方も好印象。曽我部恵一を思わせる楽曲と歌いっぷり。

3番目は、ミカカさん。
フォークギターで弾き語り。暴力的ながなり系の歌やけど、メロディの良さと歌詞も面白い。こういう歌は好み。ギターの弾き方が独特の押さえ方をしていた。「オレ押え」ってやつやな。
吉田拓郎(広島だけにね)と真心ブラザーズを足して3で割ったらこんな風になるかな。さすが広島は奥が深い。

4番目は、久保モリソンさん。
この人はプロでもいけるぐらいのクオリティ。ガットギターで弾き語る独特の歌い方もちゃんと芸になっている。同じような感じの曲が多かったけど、ちょっと違う系統の歌が入ってもいいかなと思った。でも、ほんとすごい!

5番目は、ゴトウイズミさん。
アコーディオンで弾き語り。シャンソンっぽい曲を歌う。曲と曲の間のおしゃべりも雰囲気たっぷりで、なんとも色気のあるステージです。全体を通して楽しめるように構成されてるし、アコーディオンの見せ方もちゃんと考えられている。蛇腹の広げ方なんてかっこいい。なかなかこんなことできる人いないよ。最後の方ではちゃんと泣かせる曲も用意していて感動です。

ゴトウイズミさん以外は全然知られていないので、正直そんなに期待していなかったけど、全部が面白かった。全体をきっちり構成していて、共演者の良さをちゃんと引き出している、ゴトウイズミさんには脱帽ですね。

こういう企画はムジカジャポニカならでは、って気がしますね。ほんとうにいいライブを観ることのできるライブハウスです。

広島に行ったら是非行ってみたいぞ、ヲルガン座。