2014年2月7日金曜日

雉の祭典

あ、ギヨーム・デュファイとジル・バンショワが立ち話をしています。どちらもルネサンス初期の大作曲家です。ちょっと立ち聞きしてみましょう。

デュファイ(以下デュ) あ、バンショワ君、元気?
バンショワ(以下バン) どうも、デュファイ君。久しぶりやな。
デュ そのハープええな。買ったん?
バン うん。
デュ 結構高かったやろ?嫌らしい話やけど、いくらやった?
バン 安もんやっちゅうに。それ、オルガン?
デュ あ、そうそう。この前ちょっとしたお金が入ったんで作らせんや。(オホン)
バン へええ。ええなあ。(ちょっとしたお金って何か悪いことでも。。。)
   あ、いやいや、何か良い仕事でもあったん?
デュ あれ、知らんかった?こないだフィリップ善良公の大宴会に呼ばれてねえ。
バン フィリップ善良公?
デュ そうそう「雉の祭典」って言うてたな。なんでも「なんちゃって十字軍」の為に
   誓いを立て合って、それを祝しての大宴会。
バン ええー。ええなー。
デュ 善良公なんて言われてるけど、もう人使い荒いんやから大変。
   「パイの中で演奏してもらう」とか言われてドーム状のテントみたいなとこに
   通されて。んで、演奏してたら下で火をつけやがんの。
   パイはふっくらと膨らんだけど僕らはアッツいアッツい。
バン ははは(苦笑)
デュ 死ぬかと思たよ。でも一杯お金くれたから、まあよかったかな。
バン そうなのか。僕も呼んでーや!
デュ ごめんごめん。でも十字軍、行かへんらしいよ。
バン なんや、宴会したかっただけかいな。

バン そういえば、僕らの絵にセリフを入れることが流行ってるらしいで。
デュ へええ。知らなんだ。
バン ちょっとやってみよか?
デュ うん。

デュ その竪琴、弦少ないな。お金無いんか?
バン なんでやねん。

バン 僕を貧乏と思ってるやろ。そんなんあかんわ。
デュ じゃ、もう1回。


デュ 僕は後ろのオルガンを屁で弾けるぞ。
バン なんでやねん。

バン オルガンを屁で弾けるってなんやねん。
デュ よう聞いてくれました。このオルガンのふいごを口で息を入れてもいけるように
   してるねん。
バン え、歌唄われへんやん。
デュ そこやがな。歌うときは、このチューブをお尻につっこんでやなあ、ブッブブー
   って弾けるんやで。2〜3声ぐらい屁のカッパや。
   (※ブッブブー:18世紀の日本で屁こき芸があった事を平賀源内が書いている。
    匂いをだしたり下着を汚したりする芸人はまだまだとのこと。
    この対談は15世紀を想定しているが、おそらくその当時にヨーロッパで開発
    されて日本に鉄砲と同じ時期に入ってきたのであろう。ウナギを土用に食べるの
    も源内の言い出したこと。言い出しっ屁っていうぐらいなので。)
バン 器用やな。
デュ そうやろ?
バン なんか、僕、つっこみばっかりやな。
デュ 自分も喋らんかいな。「うなづきマーチ」を定旋律※にしてミサ曲作ってるん
   バレたら首飛ぶで。
   (※定旋律:この頃のミサ曲に世俗曲のメロディをテノールにおいて上2声を作曲
    することがよくありました。「うーなーなーうなうなうななー♪」を
    「うーーなーーなーーうーなーうなーうーなーなー♩」と伸ばして使う事に
    よって世俗曲と知られずにこっそり引用していたという、今のサンプリングの
    考えがこの当時に既にありました。)

バン じゃあ、募集しよか。
デュ 僕らの絵に面白いセリフを付けてください。面白い作品を作った方には素敵な
   商品を差し上げるなどという素晴らしいことがあってもいいかもしれませんが
   お金が無いのでご勘弁を。
バン さっき、お金あるって言ってなかった?
デュ オルガンに使ったのでありません。

(対談はフィクションであります。この雉、いや記事に対するクレームは受け付けません。)

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