先日、大衆演劇を観た。初めての西成区である。ちょっと緊張したが、花園町駅に降り立ってみるとそれほど他のミナミと変わらない。劇場の前に着くと、人があふれかえっている。そんなに人気があるのか?入場するのにちょっと戸惑う。「予約の人が先!当日の人はとりあえず外に出て!」とおばあちゃんが叫んでいる。後で聞いたところによると、ここの支配人らしい。予約の人全員を座らせてから、壁伝いに補助椅子を並べ、当日券の人はそこに座らされる。でも、花道から引き上げていく役者の通り道だったのでラッキーだった。
さて、席を確保してしばらくすると演劇の始まりだ。タイトルは忘れたが、大工の頭領と弟子の話である。途中まで観て「この話知ってる」と思った。思い出してみると、古典落語の「金明竹」の前半部分だった。(金明竹も、狂言をもとにしているそうだ。)金明竹の前半部分は与太郎が店番(ここでは大工の仕事)をしているところに客が来て、いろいろなものを貸してくれというのを断る話。与太郎が馬鹿なので頓珍漢な受け答えなのに、妙に切れるところもあって面白く聞かせる。でも絶妙の掛け合いで、アドリブのギャグも入れつつ1時間引っ張る。すごい!でも最後のところはあまり発展させれなくてちょっと残念。後で聞くと、この劇団は演技の出来る人が1人しか居なく、頭領の役は客演とのこと。「まあ、しゃあないな」っていう感じ。でも2人の演技は面白かった。
1時間30分の演芸の後、30分ほどの休憩をはさんで、第2部は歌謡ショウ。といっても歌は2回だけで後はひたすら踊る。ジャニーズと北島三郎公演をまぜるとこんな感じになるだろうか。観客はすごい盛り上がり。女形の座長の踊りは特に盛り上がった。男なのに妖艶な感じ。いや男だから出来るのか、そこはよくわからない。
やっぱり大阪はすごい。(でも劇団は東京から来てるらしい。)役者が登場するところと、決めのポーズをとれば、観客が役者の名前を叫び(よっ、玉三郎!みたいな)、1万円紙幣をふことろにねじ込む。これがミナミの大衆演劇やねえ、と思わせる。
その日は千秋楽とのことで、最後、座長の1000万円の衣装を着た踊りが観られた。もうベタの極北。でも、そこまでやると美しい。観客はじいさん、ばあさんがほとんどだが、中には寄席に行きそうな粋な客もいた。休憩入れて4時間。日本はまだまだ面白いぞ。
(写真は、お開きのときに投げられたティッシュ。)
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