ブライアン・ウィルソンの半生記の映画「ラブ&マーシー」を観た。
昔、ブライアン・ウィルソンの半生を書いた本(ブライアン・ウィルソン自伝)を途中まで読んだ事がある。途中から悲惨すぎて読めなかった。
父との確執、これは虐待といっても誰も文句を言えないであろう内容に愕然とした覚えがある。父から、こんな(ここでは書かないが)辱めを受けても、ビーチボーイズのメンバーでありプロデューサーであったのだ。
当然、才能はある。当然まわりからの期待や、レコード会社からの圧力があり、60年代に、その才能を認められながらも、狂気と思われる行動に走って行ったのもうなずける。統合失調症といわれているが、ドラッグや酒などの影響もある。
映画では、60年代の人気絶頂の頃のブライアンと、80年代の最低だったときの頃が交互に描かれていた。
60年代を演じる俳優はブライアンそっくりだった。ちょっと小太りなとこも。
80年代のブライアンは、パッとしていなくて、すごく親近感を覚えた。
精神科医に行動をコントロールされていて、好きに動けない。素敵な女性と出会うのだが、精神科医の高圧的な態度に逆らえないし、またそれに依存する自分をどうする事もできない、駄目駄目なブライアン。
そういう人が60年代にビーチボーイズでやたら明るい曲を作っていたというのには正直びっくりする。
60年代のブライアンは、ビートルズの「ラバーソウル」に触発され、バンドのメンバーなしで楽器の録音をした「ペットサウンズ」を作る。あらゆる音楽界のスペシャリストを集め、そのときのメンバーから「お前は天才だ。ずば抜けている。」といわれつつも、バンドのメンバーとの録音が不安なブライアン。その予感は的中し、メンバーから「ビーチボーイズ的でない。歌詞もおかしい。」と指摘を受け、少々の変更をしつつも「ペットサウンズ」は出来上がるが、セールスは1位を外れてしまう。
しかし、ここでブライアンの音楽的センスが解き放たれた。同時に狂気にも足を踏み込み始めた。後からビーチボーイズを聴いている僕には、このブライアン・ウィルソンが本物なのだ。
その後、精神科医の圧力を逃れられたブライアンは、ソロで良い作品を作りつつ、まだ、本腰ではない、とか囁かれたりしていたが、「ペットサウンズ」の後の作品「スマイル」を37年ぶりに完成させるなど、良い方向に向かっているようだ。
しかし、ビーチボーイズとブライアン・ウィルソンには法的にややこしいことになっているようで、なかなか一緒に来ない。2012年には奇跡的に来日、一緒に演奏したそうだ。
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