2017年5月16日火曜日

CTT

古楽講習会の次の日は京都。葵祭の前日でした。

ちょっと早めに京都駅に着いたのでメシでも食おうかなと思ったけど、いやいやバス遅れるんちゃう?とも思ったので、洛北高校方面206番のバスに乗りました。なんと高木町(北大路付近です)まで1時間以上かかりましたよ。京都の道路は混んでるのでしゃあないな。
(賀茂川です)
15時からCTTセレクションを観劇。
CTTとはコンテンポラリー・シアター・トレーニングの略。実験的なお芝居をちょっと見せてみて反応をみてみよう、みたいな団体だそうです。前に大阪でやってたやつは見逃しているので今回は絶対行こうと思ってました。30分のお芝居を3団体。今回は過去に評判の良かった3団体の作品が観れるということです。

1番目は「ナマモノなのでお早めにお召し上がりください。」。
布団が敷いてあって、枕にスマホが置かれています。川が流れる音がしています。
なかなか役者が出てこない。あれ?どうなってるの?と思ってチラシをみると、無人演劇って書いてありました。途中、電話が鳴る音や、玄関のチャイムの音(イメージとしては下宿っぽい感じでしたが)、扉を叩く音が挿入されます。最後に暗転の後、布団が乱れていて、無音になります。
正直言って、全然わかりませんでした。後で、作演出者が作品について語ったときに、自分の構想したことを役者に伝えるのがまどろっこしかったがそれが今回なかった、ということを言ってたと思うけど、観客に伝えることもまどろっこしいと思ったのかな。前に上演したときは役者がいて台詞もあって、物語もちゃんとしたものがあったという。それらをそぎ落としていって無人になったということか。演劇についてとやかく言えるほどお芝居を観ていないけど、この方向は間違っているのでは?

2番目は「250km圏内」。
2人出てきました。役者が出てきただけでなんか安心しました。
これはダンス作品。といっても普通のダンスではなくて、舞踏系。男女が背中合わせにもたれあいながら、中腰で力関係を移動させていく。途中で出てくるセリフも詩のようなもの。役者の動きから目が離せない。全体に流れる絶望的な暗い感じは最後まで残っていました。面白いけど後味はあまり良くないかな。

3番目は「ティッシュの会」。
まず、男女がラーメンを食べているシーンから始まります。会話が普通であることにホッとしました。でもなんかぎこちないなと思っていると、それはお芝居の中のお芝居だということがわかる。また1人は女だと思ってたけど途中で男であることが判明。これは演劇の稽古場で行われていることをお芝居にしているのです。
1人が演出家っぽく、相手にいろいろダメだしをする。かなり細かいことまで言ってて笑える。笑えるけど、そこを畳み掛けてはこないし、さらっと次に移る。
2人の間の空気が険悪になってきたところで、「そういえば、」といって明るい世間話が始まろうとするが、盛り上がってきつつあるところでダメだしが入って、これも稽古の1つだったのだ、と現実に戻される。
後の合評会で、クラインの壷みたいに4次元構造になってる、と言った人がいたけど、ほんとそんな感じで面白かった。途中、ラーメン屋のシーンを設定を変えて何回もやって、結局、「いつまでもラーメン屋に行けないね」となるのだけど、それは自分たちの課題というか出来ないこともこのお芝居に盛り込んでいるとのこと。

途中、観客席から登場するのはどうか、というのを試してみようというところがあって、出演者2人とも観客席に来て、そこから台詞を言うところがあった。舞台が無人になって、あれ?なんか見たことあるぞ?って感じがした。そうそう、1番目に見た無人演劇だ。その再現というかパロディというか、やってる本人達が意識していたのかしていないのかわからないけれど、もう一度思い起こさせてくれた。意図せず、多面的なシーンになっていた。パロディとして使ってた感じはまったくなかったけど、こういうのもアリやな、と。無人の使い方は全然違うんですが、案外「ナマモノ」さんの目の付け所も悪くないのでは?と思わせてくれた。

個人的には「沖縄に行ったとき楽しかった話」が面白かったな。後で、ほんとうは沖縄に行ってなくて、そういう人たちを見て「楽しそうだな」と思ったっていう。
物事には表裏の2面があって、自分が大変だと思っていても、人からは楽しそうにみえたり、その逆もある。物事の多面構造もテーマの1つなのかな。そうそう、先に書いた4次元構造も。

他の2団体と違って普通の感じがするのですが、内容は一番現代的だし、それを面白いと思えるところまで持ってきていました。
ティッシュの会、結構いいです。

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