関西小劇場激戦週だった先週。見逃したものも多数。
時間はあるのだけれどお金がない。お金があるときは暇がないのに。
なんとかバランスを取りたいものです。
それでも3つ観ました。
17日に、狂夏の市場11月公演「狼女」。尼崎「とらのあな」にて。
関西で有名な女優さんを4人呼んできて、主宰の岩切さんと絡む、というもの。夏の公演も面白かったけど、今回もすごかった。
西川さんのウクレレ漫談(ん?ちょっと違うけど)、ハシグチさんのエロエロクッキング、空山さんの上手い歌、峰さんの小難しい演劇論のフルート漫談、どれも見応えあり。
バラバラな内容のそれらを岩切さんがうまくまとめていて、面白いイベントになってました。
尼崎の三和市場はシャッター街となってしまってるけど、残っている店が頑張って、怪獣と絡めたイベントを毎月開催。「狂夏の市場」もそのひとつ。三和市場を笑いで蘇らせようとしている。頑張ってほしいな。
18日は三俣婦人会「ゴン駄々吉 第一回生前葬」。千日亭にて。
ゴン駄々吉さんとは何者なのか?
少し前から名前はよく見るし、結構ちゃんとしたお芝居にも出ている。いつも豪華すぎる客演陣。日替わりゲストも豪華。
でも最初から最後まで「???」の連続。テーマも個人的なことからいきなり国家的になり、最後に日本が登場するなどわけがわからない。
わけがわからないのにずっと見てしまう。ゴン駄々吉さん、アホなのか天才なのか?
また観に来て確かめたいと思う。
19日は劇団May「四神四季」。シアトリカル應典院にて。
もう、素晴らしすぎる。
在日朝鮮人の兄弟とその家族を描いたもの。一番上のお姉さんが危篤となり、ゴミ屋敷になっていた、お姉さんが住んでいた家の片付けに、兄弟とその家族が集まってくるところが前半。お姉さんの悪口を言い合いながら、お互いケンカもしながらも片付けていくと、遺影と、おそらく葬式代であろうお金が出てくる。
後半はお姉さんのお通夜。飲んだり食べたりしながら話していくうちに、一番、朝鮮の文化やしきたりを守ろうとしている長男が日本に帰化したことや、それを残念に思うが言葉に出さない義理の兄、また宗教を変えた親戚もいることがわかる。お互いを罵り合いながら、亡くなったお姉さんを悪く言いながらも、それぞれには思い出もある。お姉さんの住んでいた家はもともと兄弟が育った家でもあり、それを手放すかどうか話し合う。いいこともなかった想い出ばかりだけど、最後の砦だと思う者もいる。
でも最後にはどれも決着しないで、お葬式の場面で物語は終わってゆく。
最後の場面でお経を読むのは朝鮮式のお坊さんだった。なんとなく軽やかにも聞こえるのは、旅立っていく先がいいところなのだろうか、それとも、いがみ合ったこの世の中も悪いところばかりではなかったということなのだろうか。
在日の人たちの社会や日本社会との関係、また在日の家に生まれた子供たちの社会との関わり、個人の想いなどが絡まり合っている。
お芝居にはメッセージなんかいらないんですね。人がそれぞれ持っている想いは、優しさや悲しさや怒り、絶望、いろいろあるだろうが、言葉にならないものもある。そういうものがこのお芝居にはあった。
この文章を読んでも素晴らしさは伝わらないだろうけど、途中から涙が止まらなかった。これを書きながらも泣けてくる。いいお芝居を観た、と思った。
というわけで、今回の激戦週、観たどれも面白かったと思う。満足です。
0 件のコメント:
コメントを投稿