「ルネサンスの音楽世界」という本を読んでいる。
ルネサンス音楽のことってぜんぜん知らんなー、と数ヶ月前に思って、いろいろ図書館で借りて読んでるんですよ。並行して「デカメロン」とかもね。
この本は三部作で、「中世の音楽世界」「バロックの音楽世界」という本があるそうだ。日本語訳されてるのは中世のやつだけ。もうすぐ、バロックも出るんちゃうかな。でも、この本でも9000円ぐらいするから買いづらいなー。図書館で借りるのがいいよ。
訳した人が、今、世間で使われてるカタカナとちょっと違うように書いてる。例えば、ディエゴ・オルティスって呼ばれてるビオラ・ダ・ガンバの奏者もディエゴ・オルティッツって書かれてる。まあ、そう読めんこともないし、国によったらそう呼んでるかもしれないけど、世間に合わせてほしいなー。
なんか読みづらいなー、と思いつつも、結構面白い。
ミサ曲やモテットの作曲方法はピンとこなかったけど、器楽曲の説明が結構長く書いてある。即興的にやってた民衆的なことは文書になってないけど、ハイソサエティな音楽は楽譜が残ってる。世間で大流行したから本に載った曲ってのもあるみたい。
また、世俗曲であるシャンソンのテナー部分を抜き出して、それにコードや他パートを即興的につけて演奏されてた、とかね。そんなんできるようになりたいわー。
ダンスとその音楽についてもわざわざ1章を儲けてる。即興が中心なので音楽についてはなかなかわからないけど、ダンス曲集の出版物やダンスの指南書など、15世紀から17世紀ぐらいまで言及がある。これは結構珍しいですよ。
なかなか、面白い本です。ルネサンス好きの人は読んでみたらいいと思うよ。
そうそう、まだ読んでないけど、ルネサンス時代に流行った「プラトン哲学と宇宙論」って章が付録についてる。これも興味深い。
ときは21世紀。しかし400年ほど前の音楽を愛する人達がいます。今のクラシック音楽の祖先であり、生命感にあふれ生き生きとしていた頃の音楽。それにからめて演劇や美術や面白いものを書いていきたいと思います。
2018年5月30日水曜日
2018年5月21日月曜日
デカメロン(上、中)
ボッカッチョの「デカメロン」、ちょっと前から読んでますが、超面白いです。
今の時代、鬱的な人にとっては、カニコーセンのブログが面白いですが、その次ぐらいに面白いです。
ペスト大流行の1300年代のフィレンツェで男女10人がちょっと田舎に引き込んで、1日1人1話(合計10話)、10日間に渡って面白い話をしよう、という趣向。全100話が物語られます。
ボッカッチョはダンテファンだったみたいで、この本もダンテの「神曲」100歌にならってかどうかはわからないけど、100話まであります。途中、ダンテの書いたそのままを使ってる場所もあるようです。訳者が注釈でわざわざ書いてたのでボッカッチョは「オレ、ダンテ知ってるで!」っていいたかったんでしょうね。
1日目が始まる時終わった時、2日目、3日目、それぞれにお話が終わった後、食事の後、歌を歌ってダンスをします。リュートを弾きながらってとこもあって結構グッときますね。1300年代は貴族のあいだだけでなく市民へも音楽やダンスが広まってたようです(ここでは貴族の男女ですが)。感慨深いものですよね。
「上」の3日間が終わって、これは好色文学か!?と思ったのもつかの間、次の「中」に入ると、いきなり泣かせる話があって、自分が700年ほど昔のボッカッチョにどれだけ弄ばれてるんだ!って思いますよ。酒飲みながら読みたいね、泣いたり笑ったりしながら。
ボッカッチョってちょっと前は「ボッカチオ」でした。いつからかるーいスナック菓子(パックンチョ)みたいな名前になったんでしょうか。内容と照らし合わせると、それ(かるーい感じの名前)もいいなーって思います。なんか、ヨーロッパ文学の大御所みたいな感じでしたが、全然そんな風に思わず、でも人間の喜怒哀楽が感じられるのがいいな。
今まで読んだ内容では、聖職者の腐敗への罵倒と、不義密通しても男女の愛は高尚というか気持ちいいものである、ということで自然的に高尚なものである、ってことが中心だったかな。偉そうにしている奴には罵声を浴びせるけど、男女の睦言にはおおらか。西鶴みたいな感じなのかな。知ってるものでは落語のエロ話に近い。
この後、どんな話が出てくるのか、ほんとに楽しみ。
今の時代、鬱的な人にとっては、カニコーセンのブログが面白いですが、その次ぐらいに面白いです。
ペスト大流行の1300年代のフィレンツェで男女10人がちょっと田舎に引き込んで、1日1人1話(合計10話)、10日間に渡って面白い話をしよう、という趣向。全100話が物語られます。
ボッカッチョはダンテファンだったみたいで、この本もダンテの「神曲」100歌にならってかどうかはわからないけど、100話まであります。途中、ダンテの書いたそのままを使ってる場所もあるようです。訳者が注釈でわざわざ書いてたのでボッカッチョは「オレ、ダンテ知ってるで!」っていいたかったんでしょうね。
1日目が始まる時終わった時、2日目、3日目、それぞれにお話が終わった後、食事の後、歌を歌ってダンスをします。リュートを弾きながらってとこもあって結構グッときますね。1300年代は貴族のあいだだけでなく市民へも音楽やダンスが広まってたようです(ここでは貴族の男女ですが)。感慨深いものですよね。
「上」の3日間が終わって、これは好色文学か!?と思ったのもつかの間、次の「中」に入ると、いきなり泣かせる話があって、自分が700年ほど昔のボッカッチョにどれだけ弄ばれてるんだ!って思いますよ。酒飲みながら読みたいね、泣いたり笑ったりしながら。
ボッカッチョってちょっと前は「ボッカチオ」でした。いつからかるーいスナック菓子(パックンチョ)みたいな名前になったんでしょうか。内容と照らし合わせると、それ(かるーい感じの名前)もいいなーって思います。なんか、ヨーロッパ文学の大御所みたいな感じでしたが、全然そんな風に思わず、でも人間の喜怒哀楽が感じられるのがいいな。
今まで読んだ内容では、聖職者の腐敗への罵倒と、不義密通しても男女の愛は高尚というか気持ちいいものである、ということで自然的に高尚なものである、ってことが中心だったかな。偉そうにしている奴には罵声を浴びせるけど、男女の睦言にはおおらか。西鶴みたいな感じなのかな。知ってるものでは落語のエロ話に近い。
この後、どんな話が出てくるのか、ほんとに楽しみ。
2018年5月14日月曜日
ジェズアルド
今谷和徳氏の「ルネサンスの音楽家たち」Ⅰ、Ⅱを一気に読んだ。赤川次郎を買った人のように貪るようにね。
Ⅰ巻で面白かったのはデュファイの章。読み進んでわかることなんやけど、小さい時からの記録が残ってるのはデュファイぐらい。他の作曲家は20歳、30歳ぐらいまで何してたのかわからないんですよ。でもデュファイは結構記録が残ってた。聖職者だったし、結構イタリアで活躍してる。そんなん知らんかったなー。結構好きな作曲者です。
興味深いのは、鬱的な音楽を書いた、リュート奏者には超有名なジョン・ダウランド。
本人は国王の宮廷音楽家として採用して欲しくていろいろな手を尽くすけど、いつも脇が甘い。甘すぎる。で、採用されない。ヨーロッパ全体では結構有名人になってたのにな。
自身の宗教観がよくなかった、というかあんまり宗教に興味もってなかったんちゃうかな。他の音楽家と比べたら結構どうでもいいと思ってた感がある。他の人にはどうでもいいこととちゃうかったんやけどね。
まあ、こういう上手くいってない人は僕の興味の対象になるんですよ。僕がうまくいってないからね。(ほっとけや!)
さらに興味を持ったのはカルロ・ジェズアルド。
鬱病だったのはCDなどのライナーノーツから知ってたけど、生立ちなんかをみてると、ナポリの有力貴族だったのに、引きこもり体質だったみたい。
一回目の結婚の後、妻が男と密通してるので、その現場を押さえて、家来に二人を殺害させてる。誰も幸せにならない暗い感じが漂う。後のエピソードと合わせて思うのは、ジェズアルド自身はどうしたらいいかわからなくて、家来が「じゃあ、こうしましょう」と言って二人の殺害計画を立てたんじゃないのかな、と思った。そんなことは書いてないけど。もう、しょっぱなから転落人生やな。
その事件の後、ほとぼりが冷めてから、エステ家のエレオノーラと音楽の最先端の地、フェラーラで2回目の結婚をし、そこで自作の曲の出版を行う。たぶんここが彼の一番幸せだった時代。
結婚式と出版が終わったら、妻のエレオノーラをフェラーラに残して自分だけナポリ近郊のジェズアルドに帰ったりしている。というか引きこもってる。一緒に帰るのはエレオノーラが嫌がったのかもしれないけど、まあ一人で作曲してるのも面白かったんかな。今に通じるオタク体質ですよね。ここでも「一緒にジェズアルドのお城に行って暮らそう!」って、ちゃんと妻に言えてないんじゃないかな。
カルロ「ぼく、ジェズアルドのお城に帰るけど一緒に来る?暑くてジメジメしてるけど。。。」
エレオノーラ「えっ?(怖)」
みたいな。
やっぱりそういう体質から生まれた音楽は鬼気迫る、いや違うな、変にイビツで、でも美しいものがあります。僕は数年前にCDを買って戦慄が走りましたね。美しく響いた和音の後にデカダンスな空気が現れる。全然ハッピーにしてくれないんですよ。でも、それがとてつもなく綺麗なんです。
持ってるCDを推薦しときます。第6集、欲しいな。
ほんと死にたくなるね、こんな音楽聴いてると。やばいやばい。
Ⅰ巻で面白かったのはデュファイの章。読み進んでわかることなんやけど、小さい時からの記録が残ってるのはデュファイぐらい。他の作曲家は20歳、30歳ぐらいまで何してたのかわからないんですよ。でもデュファイは結構記録が残ってた。聖職者だったし、結構イタリアで活躍してる。そんなん知らんかったなー。結構好きな作曲者です。
興味深いのは、鬱的な音楽を書いた、リュート奏者には超有名なジョン・ダウランド。
本人は国王の宮廷音楽家として採用して欲しくていろいろな手を尽くすけど、いつも脇が甘い。甘すぎる。で、採用されない。ヨーロッパ全体では結構有名人になってたのにな。
自身の宗教観がよくなかった、というかあんまり宗教に興味もってなかったんちゃうかな。他の音楽家と比べたら結構どうでもいいと思ってた感がある。他の人にはどうでもいいこととちゃうかったんやけどね。
まあ、こういう上手くいってない人は僕の興味の対象になるんですよ。僕がうまくいってないからね。(ほっとけや!)
さらに興味を持ったのはカルロ・ジェズアルド。
鬱病だったのはCDなどのライナーノーツから知ってたけど、生立ちなんかをみてると、ナポリの有力貴族だったのに、引きこもり体質だったみたい。
一回目の結婚の後、妻が男と密通してるので、その現場を押さえて、家来に二人を殺害させてる。誰も幸せにならない暗い感じが漂う。後のエピソードと合わせて思うのは、ジェズアルド自身はどうしたらいいかわからなくて、家来が「じゃあ、こうしましょう」と言って二人の殺害計画を立てたんじゃないのかな、と思った。そんなことは書いてないけど。もう、しょっぱなから転落人生やな。
その事件の後、ほとぼりが冷めてから、エステ家のエレオノーラと音楽の最先端の地、フェラーラで2回目の結婚をし、そこで自作の曲の出版を行う。たぶんここが彼の一番幸せだった時代。
結婚式と出版が終わったら、妻のエレオノーラをフェラーラに残して自分だけナポリ近郊のジェズアルドに帰ったりしている。というか引きこもってる。一緒に帰るのはエレオノーラが嫌がったのかもしれないけど、まあ一人で作曲してるのも面白かったんかな。今に通じるオタク体質ですよね。ここでも「一緒にジェズアルドのお城に行って暮らそう!」って、ちゃんと妻に言えてないんじゃないかな。
カルロ「ぼく、ジェズアルドのお城に帰るけど一緒に来る?暑くてジメジメしてるけど。。。」
エレオノーラ「えっ?(怖)」
みたいな。
やっぱりそういう体質から生まれた音楽は鬼気迫る、いや違うな、変にイビツで、でも美しいものがあります。僕は数年前にCDを買って戦慄が走りましたね。美しく響いた和音の後にデカダンスな空気が現れる。全然ハッピーにしてくれないんですよ。でも、それがとてつもなく綺麗なんです。
持ってるCDを推薦しときます。第6集、欲しいな。
カルロ・ジェズアルド(幽霊みたい!) |
ヴェネクシアーナ、マドリガーレ第4集 |
ヴェネクシアーナ、マドリガーレ第5集 |
ラ・コンパーニャ・デル・マドリガーレ、マドリガーレ第3集 |
ほんと死にたくなるね、こんな音楽聴いてると。やばいやばい。
2018年5月9日水曜日
ルネサンス
まだ30歳ぐらいの頃かな。本屋で買おうかなーどうしよーかなーって迷いに迷って買ってない本を最近になって無性に読みたくなってたのですが、図書館にありましたねー。
数年前に大阪府立中央図書館に行って、3、4階が閉鎖されてたかなんかで、全然本置いてないんやなーって腹たって、もう二度と行くかい!と思ってたのに、この前に子供向けイベント出演で行ってみたら、とんでもなく面白いやんか。めっちゃ本置いてある。ネットでみたら公立図書館では日本一の蔵書数なんだって。おそれいりやした。
で、借りてきましたよ。
まずは、「中世・ルネサンスの社会と音楽」今谷和徳さん著。
これを読むだけで、14世紀から16世紀ぐらいのヨーロッパの政治状況、それに絡んだ音楽の状況がだいたい把握できます。なんで今まで読んでなかったのか?
それを1週間で読み終わって、次は、
「ルネサンスの音楽家たち」Ⅰ、Ⅱ これも今谷和徳さん著。
これは、あんまり個人の事を知らされることのないルネサンス時代の音楽家(作曲家)に焦点をあてて書いているものです。デュファイがどこで生まれて、どこでこんな曲かいたよ、ってことが書いてあります。そういうふうに見ると、音楽もいっぱい作曲されたうちのひとつというより、このイベント(結婚式とかです)のために書いて歌ったんやなー、って思うと感慨深いのですよ。
リュートを手に入れてから22年ほどですが、今やっと弾いてる曲がリアルなものになりつつあります。どんだけ引っ張っとんのや。
根が怠け者なのでこんなに時間がかかってるんですが、死ななければ長くやれるといういいところもありますね。それに自分の中での新発見はとんでもなく輝かしいものなので、それが年取ってからも感動的に訪れるのですよ。
まだ10代の頃みたいな感動なんすよ。ええやろ?
数年前に大阪府立中央図書館に行って、3、4階が閉鎖されてたかなんかで、全然本置いてないんやなーって腹たって、もう二度と行くかい!と思ってたのに、この前に子供向けイベント出演で行ってみたら、とんでもなく面白いやんか。めっちゃ本置いてある。ネットでみたら公立図書館では日本一の蔵書数なんだって。おそれいりやした。
で、借りてきましたよ。
まずは、「中世・ルネサンスの社会と音楽」今谷和徳さん著。
これを読むだけで、14世紀から16世紀ぐらいのヨーロッパの政治状況、それに絡んだ音楽の状況がだいたい把握できます。なんで今まで読んでなかったのか?
それを1週間で読み終わって、次は、
「ルネサンスの音楽家たち」Ⅰ、Ⅱ これも今谷和徳さん著。
これは、あんまり個人の事を知らされることのないルネサンス時代の音楽家(作曲家)に焦点をあてて書いているものです。デュファイがどこで生まれて、どこでこんな曲かいたよ、ってことが書いてあります。そういうふうに見ると、音楽もいっぱい作曲されたうちのひとつというより、このイベント(結婚式とかです)のために書いて歌ったんやなー、って思うと感慨深いのですよ。
リュートを手に入れてから22年ほどですが、今やっと弾いてる曲がリアルなものになりつつあります。どんだけ引っ張っとんのや。
根が怠け者なのでこんなに時間がかかってるんですが、死ななければ長くやれるといういいところもありますね。それに自分の中での新発見はとんでもなく輝かしいものなので、それが年取ってからも感動的に訪れるのですよ。
まだ10代の頃みたいな感動なんすよ。ええやろ?
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