2019年2月8日金曜日

インスブルックよ、さようなら

節分も立春も終わって、もう春ですね。
今年も壬生寺さんにお世話になりました。ありがとうございました。なむなむ。

「インスブルックよ、さようなら(Innsbruck, ich muss dich lassen)」という曲、知ってます?タイトルは有名だから聴いたことある人も多いと思います。

僕は、古楽を趣味としながら、それもルネサンス好きを公言しながら、この曲を初めて聴きましたよ。まあ、どこかの演奏会で聴いたことはあるかもしれませんが。
ハインリッヒ・イザークの曲。後にフィレンツェに行って、ロレンツォ・イル・マニフィコの下で音楽活動をする人です。

数日前に、タワーレコードから誕生日月のポイントを15倍にするよーって連絡がありまして、少ない持参金と相談しながら、アーノンクールの「インスブルックよ、さようなら(マクシミリアン1世の宮廷音楽)」というのを1000円で買ったのでした。

なんと録音は1963年。この時代にこういうルネサンス音楽をやってるってのは非常に珍しい存在だったんですよね。マンロウの録音も70年代やし、それより古い。
タワーレコードの企画で、昔の名盤発掘プロジェクトで安く売り出してる。めっちゃ嬉しいけどジャケットを昔のままで出してくれよ。邪魔な装飾はいらんねん。

今では、アーノンクールの演奏は時代錯誤やとか、いろいろ批判の対象になってますが、いいんですよ、これは。まあ、ルネサンスものとして聴こうとすると「???」なところはいっぱいありますが、こういう人が研究を重ねて、昔の演奏とはどういうものだったかを明らかにしてくれていたんです。その時の「これでどうや!」っていう溌剌とした感じが明らかにありますね。現在の古楽とは名ばかりの「楽器だけ古楽器使ってたら仕事あるで的」な演奏ではないでしょう。売れるかどうかもわからん状態なんやし。

もう1枚、この機会(ポイント15倍)に、それも再発盤が10%OFFの機会に買っておいたのが、
「雉の祭典」アンサンブル・ジル・バンショワ

これはもう80年代終わり頃の録音なので、ちゃんと古楽ですよ、って感じです。

「雉の祭典」とは何か。それは1454年にブルゴーニュのフィリップ善良公が、前年のコンスタンチノープル陥落を嘆き、十字軍を派遣することを誓った時の大宴会のことなのです。メインディッシュが雉の肉だったらしい。
大きなパイを作らせ、その中に20人以上の楽隊を入れて演奏させたという記録が残ってる。人間が数十人入れるパイって、どんなの???

でも、肝心の十字軍はうやむやになって行かなかったそうですよ。いつの時代も人間ってええ加減やな。まあ、十字軍なんて行きたないけどな。
有名なホイジンガの「中世の秋」にもこのことは書いてあります。ちょっと読んでみて。

実はこのCD、持ってる。過去に出ていた、デュファイのミサ曲とカップリングの2枚組のうちの1枚。ジャケットも違う。この2枚組のCDを買ってからかなりの時間、この1枚が「雉の祭典」で使われた曲を録音したものだと気づかなかった。日本語の解説欲しさに今回の購入なのです。

どちらのディスクも、中世からルネサンスへの移り変わりの時期の音楽。この辺の音楽ってあんまり知られてないけどいい感じなのですよ。聴いてみて!

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