2015年4月6日月曜日

テクノ

MODEL 500ことホアン・アトキンスの新譜。
2月頃に出てたけど今頃買ってみた。
タイトルは「DIGITAL SOLUTIONS」。


1曲目から、「どこがデジタルやねん」と突っ込みたくなる過剰な音。
クラフトワークやYMOが70年代に作っていた音に似ている。
URのマイク・バンクスも参加しているということでデトロイト好きにはたまらないディスクである。
でも、よく聴いてると「ここはデジタルなのかな???」と思うこともあるが、多分デジタルではないのだろう。テクノやのにギターも入っている。そういえばYMOもギタリストを入れていたな。何を使って作られているかわからないが、アナログっぽい音。(しかしローランドは最近、昔のドラムマシン、ベースマシンのデジタル版を作っている。それらが使われているかもしれないね。)

全体の音がでかいが、デトロイト系にありがちな育ちが悪そうな音のデカさにはしていない。
ここら辺が今も売れている所以なのだろうか。嫌らしさの奥にノーブルなところがちらちらと見えるのだ。
デリック・メイもそうだが、デトロイトテクノは悪そうに見せているけれども、実は中流家庭の黒人の音楽なのだ。(ローリングストーンズは悪そうに見えるけど、ビートルズの方が家庭環境は悪かった、みたいな感じかな。)

テクノというと黒人のイメージはなかった。ドイツのクラフトワーク、日本のYMO。
しかし、野田努氏の「ブラック・マシン・ミュージック」には、黒人とテクノの関わりがよく書かれていて面白い。ディスコのブーム、その後のハウスミュージック、DJ文化など、黒人とクラブミュージックの関連を知る上では欠かせない本である。

アメリカの自動車産業で一時栄えたが、その繁栄が終わり自動車関連会社が手を引いた後のデトロイトという都市の閉塞感の中で、そんなに貧乏でもなかった黒人の中流家庭で育った高校生達が、クラフトワークやYMOに影響を受け、当時、クソ機械として超安値で中古品として売られていたローランドのTB-303(ベースマシン)、TR-808、TR-909(ドラムマシン)などを使って音楽を作っていたという。

その音を出す機械は日本で作られたものだったが、デトロイトテクノを代表する音となった。また、デトロイト好きで知られるモーリッツ・フォン・オズワルドはベルリンにいる。そうだ、ホアン・アトキンスもベルリンに住んでいるのだった。

東京 − デトロイト − ベルリンはテクノミュージックで結ばれている。




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