2016年11月7日月曜日

あしたは全力モンキー

劇団超人予備校「あしたは全力モンキー」、ゲネプロも合わせると、なんと6回も観ました。
今回は開演前音楽祭というのがあって開演前に音楽が聴けるというものです。僕は別グループで3回出してもらいました。ありがたや。

お芝居の方は、今年12周年(干支一回り)という節目の年にもかかわらず、全然重厚感もなく軽ーい内容。でも1時間50分、あっという間に過ぎます。軽くても内容はしっかりとある。


身体能力ずば抜けている猿のハナちゃんと猿回しの太助の場面から始まる。舞台では緊張のため何もできなくなるハナちゃん。妄想の世界では孫悟空になって暴れまわり、三蔵法師の弟子になり天竺を目指す。
一方、並行して雑誌の編集長の話。東京から大阪へ左遷された幸は、大阪で突っ込みの仕方がわからず苦労する。いつしか妄想の中で三蔵法師となっている。
妄想の西遊記は徐々に一人歩きを始め、物語が進んで行く。
2つの妄想と現実が語られるうちに、妄想の中に現実が混じっていき、妄想の物語と現実の2つの物語はピンチを共に乗り越える。それも妄想の中の妄想で。
ハナちゃんは舞台で自分の力を発揮できるようになり、幸は今までの能力を再評価され東京に呼び戻される。妄想の中の三蔵法師一行は再び旅に出る。

尾松さん演じるハナちゃんに共感する人は多いと思う。僕もその一人。家ではできていることが本番ではできない。自分って結構すごいと思うこともあるのに、人前では駄目な人になってしまう。
この物語は、「そこから努力して勝利を勝ち取る」なんてことが全くないのがいいです。
劇団超人予備校の公演にはゲストも含め、上手い人からそうでない人まで、さまざまな役者で成り立っている。上手くない人が駄目かというと全然そうではない。ちゃんとその人しかできない役割が振られているのです。しかも笑いをちゃんととっている。笑いにするための上手い人のサポートもすごい。
それと、スタッフが楽しそうなのもいい印象。会社によくいる「自分はこれだけやってるのに、なぜあなたは出来ないの?」みたいにいう人はいない。
座長のミツルギさんはできなかったことを絶対に責めない。責められても出来ないことがあるのをよく知っているからだ。できることをさらに面白くしていくように見える。だから12年も続いているのだろう。

今回の本公演では、人生の「旅」がいかに面白いかを教えてくれているような気がする。悟空と三蔵が後半に「仲間と旅をするのが面白い」と言っている。最後に美香Lさん演じる幸の言葉がいい。「旅はまだまだ続く」。
「最後に多幸感を感じる」と色々な人が感想で書いていたけど、ほんとにそう思う。泣いてしまうお芝居もいいけど、これは泣くところが無い。笑いすぎて涙が出ることはあるけど。
でも、最後に幸せになってじんわりと泣けるのです。今の自分をしっかりと確認するように。




0 件のコメント:

コメントを投稿